<曲目解説>

 

 

1.Crystal Joe ('98)

    インストゥルメンタル。タイトルは忘れたが、あるモノクロ映画で
    聴いたジョニー・サンダースの曲に影響を受けて作った。
    それはまるで、水晶みたいに美しい曲だった。

2.罪のないもの ('98)

    スキー場で働いていた時に見た、一面真っ白な世界を思い出して
    作った曲。スキー場から数百メートルも歩くと、全く音のない、
    この世のものとは思えない世界が広がっていた。

    高校生の頃から「自分は汚れている」「真っ白い雪に埋もれて
    死にたい」という思いに取り付かれていた僕にとって、その
    風景はまるで、天国のように映ったのだと思う。

3.月を見ろ ('00)

    新しく買ったドラムマシーンの音に触発されて作った曲。
    こういう、極端に音数の少ないギターのリフの感じも好きだ。
    歌詞も含め、曲全体として「全く盛り上がりのない」空気を
    醸し出すことがテーマだった。

4.Overcoat ('98)

    ティム・バックリーのアルバム「Blue Afternoon」に影響を
    受けて出来た曲。行ったこともないが、イメージは北欧の冬。
    僕にしては珍しく、マイナーっぽいコードの曲だ。
    エレキギターの音が好き。

5.遠く ('97)

    曲自体は97年に作ったが、完成させたのは「Overcoat」の後。
    僕は「遠く」とか「消える」という言葉をよく歌詞に入れる。
    響き的に使いやすいからというだけで、深い意味はないのだが。
    
    何だか歌詞はこの頃の方が出来がいいなあ。改めて見ると感心する。
    「畑を舞う白い蝶は/ルートたどって家に帰る」なんて、一体
    どこから沸いて出てきた言葉なんだろう?

6.うみ ('97)

    この歌詞はそのまんまですね。海の近くで暮らしていた頃に
    出会った、ある人とのことを歌にしたんだな。
    曲はもうシンプルの極み。こういう静謐な感じは好きだ。
    
7.雨降り ('00)

    アコースティックギターの低音弦を強く弾いた時に出る音に
    惹かれて作った曲。歌詞や歌い方では、疲れた感じを出した。
    
    アコースティックギターの最大の魅力は、「残響音」にあると思う。
    ただアホみたいにかき鳴らしてるだけでは絶対に気付かない、
    かすかな響きだ。この曲ではそれがうまく録音しきれなかったが。
 
8.初冬 ('99)

    ギターのリフから作った曲。歌い方、言葉の並べ方などは、
    初期の曲たちにちょっと似てる。最近は、韻を踏んだりとか
    言葉遊びみたいな歌詞は、全然書かないもんなあ。

9.朝 ('00)

    インストルゥメンタル。こんな感じの曲ならいくらでも作れるが、
    一応A面とB面の境目を意識して入れてみた。

10.花 ('99)

    僕は結婚という制度にあまり興味はないが、それでも漠然と
    イメージを描くことはある。実はこの曲がそうなのだが、恐らく
    歌詞を読んでも誰も気付かないでしょう。

    一階建ての古い貸家で、縁側があって、小さな庭に花を植えて。
    多分、昔の日本映画か何かで見た風景なんだろうけど。

11.月 ('99)

    これも題名は忘れたが、中原中也の詩に影響を受けて作った曲。
    「湖に月が映って」というのは、昔から僕が好きだったイメージ。
    中学生の時に聴いた、ドビュッシーの「月の光」。あれに匹敵する
    曲を作りたいというのが、僕の永遠の目標でもある。

12.葬列 ('99)

    ヘイデンという、カナダかアメリカのシンガー/ソングライターの
    1stアルバムを聴いて出来た曲。あれが出たのは今から5年くらい
    前だったかなあ。地味だけど本当に素晴らしいアルバムだった。
    彼は今、何してるんだろう・・・。
      
13.あしたね ('99)

    これもヘイデンの影響じゃなかったかなあ。エレキギターの
    クリーントーンの音色の良さに気付かせてくれたのは、ヘイデンと
    ジェフ・バックリーだった。この歌詞はシンプルでいいなあ。    

14.微熱 ('98)

    キャロル・キングに代表される、70年代初頭のレイドバック志向に
    惹かれて作った曲、だったと思う。こんなピアノ、普通の人なら
    スラスラと弾けちゃう程度の超簡単なものだが、僕には難しく、
    オーバーダビングに頼った。神経症的な歌詞もいい。

15.clock  ('97)

    この頃は、曲のどこかに必ず「死」のイメージが見え隠れしている。
    「すごい曲を10曲ぐらい作って、とっとと死のう」と思っていた
    頃だ。そのぶん目的意識があり、どんどん曲が出来ていったわけだが。
    
    今は死ぬことなんて全く考えないが、だからと言ってこの当時を
    「青臭かった」と笑うつもりもない。

16.bluebird  ('00)

    この頃付き合ってた女の子にあげた曲だと思う。あっという間に
    別れてしまったけど、曲自体は好きなので入れることにした。
    ギターのコード感や、単音のピアノの響きがとてもいい。

17.hallelujah  ('01)

    去年完成させたのはたったの2曲。これはその内の一曲だ。
    最近は以前と違って「曲作らなきゃ」とかは思わなくなった。
    時期が来れば自然に出来る。曲に無理があるのは良くない。
    これは全く唐突に浮かんできて、無理なく生まれた曲だ。

18.Helpless  ('00)

    ニール・ヤングが、CSN&Y(Crosby, Stills, Nash & Young)
    というグループ在籍時に作った曲。'70年発表の彼らのアルバム
    「デジャ・ヴ」に収録されている。

    何度も書いているように、ニール・ヤングは僕の音楽的な原点で
    あり、その中でもこの曲は僕にとって、大切な「宝物」である。
    
19.Jesus  ('01)

    ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの、同名の3rdアルバムに
    入っている曲。当時のバンドの閉塞状況を象徴するような、
    はかない感じが泣ける。
    
    僕はこのカヴァーを、人に聴かせるつもりもなく気軽に録音した。
    そのため、随所に雑な部分があるが勘弁してもらいたい。


 

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