「公園」

さっきまで泣いていた子供は もう笑顔
大切な髪飾り 砂場で なくしたのに

さっきまでそこにあった太陽 隠れて
公園は人気もなく 私は一人きりで
煙を吐き出している

さっきまで泣いていた心は 闇に溶けて
公園は人気もなく 私は月の真下
眠りに入ろうとする

ここ どこ 見えない
ここ どこ ああそうか


「家出」

照らす太陽 片目で見よう 
車は走る あてなく走る
およそ40度 浮かぶ雲入道
出かけたはいいが どこへ行こうか

この辺で停めて 日陰で休もう

断りもなく 言伝もなく
出てきたはいいが どこへ行こうか
地図を開いて 考えてみて
北の方がいいか 南へ行こうか

この辺で泊まって うまいもん食べよう

つまらないもんだ 家に帰ろう


「なんで?」

見方を変えればどうにだってなる
むかついた時にはそう思って耐える

私の生まれはごく普通の家庭
食事の時にはすごく静かで

あらららら なんでそうなんの?
死にたいって また冗談を

「負けないで」 あなたは無責任な言葉
「負けるな男なら」 余計なお世話

あらららら なんでそうなの?
強がって 一人で笑って

あらららら なんでそうなんの?
死にたいって 一人で笑って


「5月」 

いつもほら よそ見しているばかりで
ここにある 探しもの
不揃いに寄せる波の音を聞く 
どこからか 二羽の鳩

悲しげに窓を見ているあなたに
届けよう 砂の粒

何も話さないでいい 雲は笑っている

海と空 同じ色になればいい
あの船が消えればいい
私には全て同じようなもの
嘘つきなあなたでさえ

何も感じないでいい 歌は流れていく

飛んで そこで 動かないで
飛んで そこで 目は閉じて


「海を見る朝」

探さないで 探さないで 去年の海の忘れ物
交わさないで 交わさないで 消えるだけの約束

探さないで 探さないで こぼれ落ちてったガラス玉
壊さないで 壊さないで 消えそうなその約束

今日はどこに行こうか 朝を夏が揺らす

変わらないで 変わらないで 去年の海の海の色
触らないで 触らないで 消えそうなその砂の城

今日はどこに行こうか 朝を夏が揺らす


「手」

あなたの手を見る 
やわらかなその手を

触れることで 愛を 
壊さないように そっと

あなたの手と手が
ささやかな言葉を

語ることで 愛を
乱さないように そっと

そっと 手を 
そっと 手を 
愛を そっと


「砂漠」

腹を空かせている黒い目の子供
何か食べるものがあればいいけれど

名もない毒の木の実ひとつ

きっと戻るから待っているのだよ
何か食べるものを見つけてくるまで

名もない孤独の白い砂漠

疲れ果てたから ここでさよなら


「名前」

分かるだろうか 歳を取ったら
言葉ではなくて

呼んでみたけど 振り返ったら
怖くなって逃げた

ロクなもんじゃないよ 振り返ったら
怖くなって逃げて

呼んでください 歳を取ったら
覚えてる名前

呼んで あなたから
向こうで笑うから

聴いて 月の夜
向こうで笑う声


「少女」

心は冷めて 体を任せ
虚ろな時を 虚ろに過ごす

魚が浮かぶ 水槽見つめ
私は海に漂う藻くず

子供のような瞳を向ける
大人はそれに耐えきれないもの

夕日が空をピンクに染めて
もうすぐ月が ピンクの月が
私を笑う


「寒い日」

かじかんだ手からこぼれた ゆっくりと
寂しいんだきっと 笑っているけど

それじゃね いつか戻る

広がった夜空は 果てなんかないようで
優しいんだきっと 忘れているけど

それじゃね いつか戻る
それじゃね また

電話のコールは4回で諦めて
眠るようにそっと 死ねたらいいのに

それじゃね いつか戻る
それじゃね バイバイ


「10月」

偽って涙が出る 久しぶり出会った人に
いつだって何も言えず 逃げるように買い物に出る

今夜は冷えるとニュースが伝えて その通り
ほんの2、3か月前の暑さが嘘みたいで

もう少しだけここにいたいが 出掛けなきゃいけないのでね
月が見えるよ 向かいの屋根の上 昨日と似た顔をして

さよならは今度にしよう 久しぶり出会った人
それならば語りましょう これまでとこれからのこと

「明日は曇り」と あなたの予報は当たるから
そのくせいつもの誓いの言葉は嘘ばかりで

もう少しだけここにいれたら 暖めて 一つしかない毛布で
次の朝には消えてしまいそう 今夜と違う顔をして


「ささやかな」

手を この手を あなたの頬に
冷え切った その頬を 暖めるために
声 この声 あなたに届け
きれいな声じゃないけど あなたに贈ろう

ラララ・・・

手を この手を あなたの髪に
なぞるよに 包むよに 愛しさを込めて
声 この声 あなたに届け
ささやかな けれど大事な 想いを送ろう

ラララ・・・


「また会いましょう」

神様どこで僕を見てる?
途切れ途切れの歌は聴こえる?

明日また同じ場所で 同じ服で会いましょう

例えばどこか遠い街へ 旅に出たなら思い出すかな

いつかまた同じ場所で 同じ服で会いましょう

いつかまた会う日のために 明日からは笑いましょう 歌いましょう




 

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